美しい言葉。

海外に行くと、今の日本では聞かないような
美しい日本語に出会うことがあります。

以前、台湾に行ったときに、観光や買い物に疲れて、
現地の喫茶店に入りました。
「カフェ」というよりも、「喫茶店」という雰囲気の
少し古い感じがする庶民的なお店でした。

注文を聞きにきた中年の台湾人ウエイターさんに飲み物をお願いして、
同行者とおしゃべりしていました。
私たちが話す言葉で日本人だと気づいたウエイターさんが飲み物を運んできました。
それぞれの席に飲み物を置いて、カタコトの日本語で
「どうぞ。コーヒーをお楽しみください。」
と、にっこり微笑んで立ち去って行きました。

あまりに美しい言葉に、呆然としてしまいました。
だって、私、日本でそんな言葉を聞いたことない!!

アメリカのダイナーでハンバーガーを頼んだ時に、
ウエイトレスさんに「enjoy~♪」と言われたことは、あったかもしれません。
もしかすると、台湾の中年のウエイターさんは、
そんな感覚でおっしゃったのかもしれませんが、
伝わるニュアンスがあまりに美しくて、しばらくドキドキしました。

飲食店やメーカーなどの業務用メニューを考える仕事をしていますが、
『どうぞお楽しみください。』と人様に自信をもって言える「食」を
ちゃんと提供できているだろうかとさえ、考えてしまいました。

日本には古来、「言霊」と呼ばれる言葉に宿ると信じられている霊的な力があります。
へんな略語やカタカナで意味の分からないことを話す人よりも、
分かりやすい美しい言葉で話す方が、絶対、かっこいいし信用できます。
私自身も、言葉に気をつけなくちゃと思いました。

Scroll to top