職業病。

涼やかで過ごしやすい気候になってきましたね。
5月から出張やプライベートの旅行が続き、
ほぼ毎週、新幹線か飛行機に乗る生活でした。


オフィス・カジュアルな会社のお客様との夏の出張は、裸足にサンダルでした。

最近、ホテルや旅館を営んでいらっしゃるお客様から
お料理を変えたいというご相談を受けることが多いのですが、
コンセプトがないと、ただメニューを考えても、
その時、目先が変わるだけで、徐々に変わってしまうので、
誰のために、なにを伝えたいかを具体的にしながら、
最終的になにを目指すかまでを話し合うところから始めるので
メニューを軸にしたコンサルティングになることが多いです。

仕事としては、形がないものなので、
私がなにをどこまでやるかをハッキリさせる意味もあります。


ここの旅館はほとんど手作りでした。おいしかったです。

ところで、私は業務用のメニュー開発が得意なのですが、
仕事柄、惣菜用の業務用加工品の主だったものは、ほぼ頭に入っています。

先日、プライベートでとある旅館に泊まりまったところ、
見慣れた業務用加工品のオンパレードでした。
一口食べて、
「●●食品の冷凍1kg入り1ケース6個入り 賞味期限約●●日 売価●●●円
使用量が30gぐらいだから、原価●●円。
器は●●のカタログにあった●●シリーズの●●円ぐらいのやつ。」
というのがぐるぐる回って、とても箸が進みません。

加工品を使うなとは言いません。
ただでさえ、人手不足の飲食業界で、すべてを手作りすると、
人件費の方が、高くなってしまうので、
おいしい加工品を上手に使う方法をお伝えすることも多いです。

安い旅館で、切るだけの加工品の練り物の前菜、冷凍マグロの刺身、業務用のタレで味付けした肉の陶板焼き、●●の素の炊き込みご飯、カットする冷凍ケーキ、
または、袋から出しただけの惣菜が並ぶビュッフェなど、
品数は多いけど、翌日なにを食べたか思い出せない定番のメニューでは、
よっぽど、強いコンテンツが他にない限り、リピートは見込めません。
品数が多い分、オペレーションに負荷がかかり、
人件費がかさんで、利幅が厳しい負のスパイラルに入っていると思います。

東京オリンピックに向けて、宿が足りない状況ではありますが、
今一度、どんな人に来てもらいたいかから考えませんか?
奇をてらう必要はありませんが、料理は旅館業にとって重要なコンテンツです。
変えないことが美徳な部分と、変えなくてはいけない部分があるはず。
個人的に思うのは、地元の人が来たくなるような魅力のある宿にしないと、
勝ち残れないと思います。

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