都市型農業。
2018年10月09日
ここ数年、日本全国の農家さんに伺う機会に恵まれ、農業って地域に根差したものなんだ。としみじみ思っています。
たとえば、北海道だと大きなコンバインで畑を1往復しただけで1トンのジャガイモが収穫できます。
その代わり、農業ができるのは春から夏にかけてだけ。
四国の農家さんは、ビニールハウスで、ハーブを育てていて1年中出荷できます。
そのほかにも、同じ野菜を育てていても収穫の仕方が違ったり、土地によって適した品種というのが存在します。
私が業務用の食材を使って商品開発したり、付加価値を作り出す仕事をしている中で、農家さんにとっての野菜やお米は「商品」なので、想いを伺いながら、どうしたらお互い(消費者や販売者、生産者にとって)より良いか、考える材料にしています。
先日、都市型農業の成功例に出会いました。
草加の駅から徒歩5分ほどの住宅地に無農薬の畑があります。
住宅街の中にハウスと露地の両方で、少量多品種を育てていらっしゃいます。
近隣には畑も田んぼもありません。こちらは無農薬で野菜を育てていらっしゃいます。
一番最初に見せてくださったのが、コンポスト。
野菜を卸してる飲食店のコーヒー殻と残り野菜をコンポストにしているそうです。
良い畑ってたいてい、土がふわふわなのですが、コンポストで作った「たい肥」のおかげでしょうか、こちらの農家さんの畑の野菜は、すごくやんちゃで元気な顔をしてました。
みつばちも飼ってます。
蜂を飼うようになってから、巣箱の脇に生えている柑橘の香りと味が良くなったとおっしゃってました。
夏の終わりのオクラの花。黒いパプリカみたいな尖った野菜もありました。
実は、こちらの農家さんは、畑の脇で野菜とそうざいを販売しています。
せっかく無農薬の野菜を使ったそうざいを作るのだからと、奥様が調味料にもこだわり、
たとえば、みりんだけでも3種類使い分けています。
こちらのお店では、そうざいで使っている調味料や食材の販売もしているのですが、
みりんを扱いたいがために、酒類の販売免許まで取ってしまったというこだわりようにビックリ。
はちみつの味見をさせていただきました♡
お弁当もおいしそうで、本当に近所に欲しいお店です。
スーパーに行けば、通年でいろんな野菜が手に入るけど、
あえて、地元での旬を知って欲しい。
街の食材庫としての役割を担いたいとおっしゃっていたのが印象的でした。
こちらの農家さんでは、自分のところだけが儲かればいいという考えではありません。
近隣地域の農家さんと協力して地域の給食で使う野菜も入れているそうです。
自分のところの野菜だけでなく、応援したい野菜を仕入れて販売もしています。
下記は、一般的に販売されている「もやし」が安すぎることに疑問を感じて、
こだわった作り方をして栄養価が高い高級もやし。(といっても200円しないんだけど。)
都市型なので駅からも近く、従業員の方の通勤にも便利です。
週休二日制で、女性も多く働いています。
お店の部門と畑の部門が連携していて、Lineで情報共有し、
例えば、お店のお客様から、しし唐が辛かったというご意見に対し、
じゃぁ。しし唐にもう少し水をあげて辛さがマイルドになるようにしよう。
などと、生産側が即、対応なさるそうです。
(しし唐、そんなので辛くなくなるんだと初めて知りました。)
メニューありきで野菜を育てるのでなく、
朝とれた野菜を前にメニューを考えるそうです。
「野菜と人が寄り添えれば」
と奥様がおっしゃっていたのが印象的でした。
農家さんが野菜を直売して、そうざいとしても売っているからこそ、
お客様に使い方の提案ができて、お客様の声がすぐ反映できます。
大規模農業では、できないスタイルですが
消費地が周囲にあり、働く人にも困らない都市型農業の取り組みとして
とても参考になりました。
すごく仲良しで、熱い想いを形にするご夫婦です。
まだまだ、やりたいことがたくさんあるようなので、今後も楽しみです。
Chavi Pelto(チャヴィーペルト)
埼玉県草加市氷川町2138-3
営業時間11:00~19:00
定休日 日・月曜
