PKO派遣の方々へ教える調理学
2012年04月13日
国連平和維持ミッション(PKO)として
日本政府の代表として派遣される方々に、
衛生学と調理学の授業を担当させていただいてます。
私の授業では、それぞれの国で手に入る食材で
簡単に作れる料理を教えています。
宗教上の禁忌で、豚肉が手に入らない国や
乾季と雨季で手に入る食材が異なる国、
停電で冷蔵庫がアテにならなかったり、
電子レンジが使えないなど
調理条件はいろいろ違います。
海外での生活には様々なストレスはつきものです。
仕事だけでなく、生活においても、日本とは環境が異なるため、
赴任後数か月は、精神的にも肉体的にも、誰しもが疲労困憊な時期となります。
そんな時は、栄養のある美味しいものを食べるのが一番。
でも、食材を求めにスーパーやマーケットに行っても、日本のように食材が豊富でなく
買えるものが限られます。
また、料理をする上で、栄養バランスを考えたり、
環境の整っていない場所では、特に調理に工夫が必要です。
私が、これまで教えた国連PKOへ派遣される方々の大半は、料理が得意でない独身男性です。
ほとんど自炊経験のない男性に、厳しい条件の海外の地で料理ができるようにすることは、
今、流行している独身男性向けのオシャレ料理教室とは異なります。
「生きるために食べ、食べることで健康を保つ。」
そのための知識を教えることが、私のミッションです。
授業の中では、包丁の握り方もおぼつかない方々に、
千切りやみじん切りをしていただいたり、
首や足のついた鶏をまるごとさばいたりします。
私としては、厳しく教えているつもりなのですが、
なぜか、いつも和やかなムード。
国連PKO派遣前の多忙な教育の中で、
『癒しの授業』と呼ばれているそうです。
派遣された後も、刻々と変わる現地の状況の中で、
どんなものが手に入るか、どんな食生活をしているかなど
後任の方々のためにメールで教えていただいたり、
現地でみつけた食材で、どう食べたらよいかなどの相談も受けています。
このお仕事を引き受ける前は、東ティモールやハイチ、スーダンが
どこにあるかさえ、分かりませんでしたが、
現地の料理や食材を知ることができて、大変勉強になりました。
派遣されたみなさんが、国のために活躍なさって
元気に戻ってこられるよう、
少しでもお役に立てればと思います。
活躍していらっしゃる生徒さん達の様子はコチラ
→ 内閣府国際平和協力本部事務局ホームページ
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