商業写真のお話。

かれこれ20年以上、商業写真のスタイリングや調理をしているわけですが、私には長年の経験から、培われたノウハウがあります。
先日、お客様が別のところで撮った料理写真が気に入らないとご依頼があり、撮影のスタイリングをいたしました。

まずは、お客様が写真のどのあたりが気に入らなかったのかの確認です。
お話を伺っていて、前に撮ったカメラマンさんは、料理を撮り慣れてなかったんだなって思いました。

料理って、いろんなルールがあります。
食材や箸の向き、食器の正しい位置などの細かいルールや漆器の扱い方など、思いつく限りでもたくさんあります。
でも今回は、それ以前のお話でした。

商業写真で一番大切なことって、なんだと思いますか?

「商品を引き立てること」です。
当たり前だと思うかもしれませんが、それが出来ていませんでした。
雰囲気はとても良いのですが、いろいろ置きすぎてメインがどれだか分からない写真。
商品に他の食材が被っていて、商品が隠れてしまっている写真。
商品に細かい傷や穴などがあいたままの写真。
見せていただいただけで、そんなポイントが気になりました。


ダメな例。トマトが主役なのに他の食材で隠れて見えない。通常、このアングルからは料理を撮らない。

私が商業写真をスタイリングするときは、撮影前に写真のテイストを伺いつつ、イメージをご提案します。
撮影当日は、お持ちいただいた商品を並べて「美人コンテスト」をします。
撮影する候補を決めたら、仮の皿にボツになった商品を置いてカメラマンさんにアングルや光量を決めてもらってる間に、
一番美人の商品にホンキの盛り付けをします。
撮影中に強い光と熱を浴びて、商品や料理がしなびてきたら、つやを出して再生したり、作り直したりもします。

パッケージ撮影や広告撮影になると、1カットを撮るのにまる1日かかりますが、カタログ撮影のように数をこなさなくてはいけないものだと、ほぼ休憩ナシで15分に1品、調理して盛り付けて撮影というハードなスケジュールになることもあります。
以前、定期的に撮影スタイリングをさせていただいていたお客様は、会社の会議室で撮っていたので、ボウルやカセットコンロ、ときにはオーブントースターなどの調理道具も持参していたので大荷物でした。
今は、なるべく弊社のスタジオで撮るようにしているので、荷物を持っての移動がないだけ、ずいぶんラクです。

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