枕崎の名人のかつおぶし。Vol.1
2018年11月08日
東京のこだわり鰹節屋さんにお誘いいただき、
枕崎の鰹節づくりの名人の宮下さんのところに、見学に伺いました。
いたるところに鰹節工場のある枕崎の街に入ると、いぶした煙の臭いがほんのり漂ってきます。
宮下さんの工場では、ご家族全員で鰹節を作っていらっしゃいます。
古いけれどきれいに掃除された工場に入ると、ピカピカのカツオが水に浸かってました。
こちらのカツオは、近海で一本釣りされたものが
18時間以内に水揚げされて冷凍されたもの。
刺身で食べられる鮮度のカツオです。
かつおぶし屋のタイコウの社長さん。コワモテですが優しいです。
カツオは4~5kgぐらいのサイズ。
一般的なカツオブシを作るサイズよりも大きいです。
昔は、カツオが豊漁でしたが今はカツオの数が減ってきているので
水深が100mのところで漁をしていたけれど、
今は水深600mぐらいの深さになってきているそうです。
大量生産の鰹節はもっと小さなサイズのカツオを使用し、電気のこぎりで頭を落とすのですが、
こちらでは、包丁で丁寧に頭を落とし、お腹を開いて内臓を出します。
カツオに脂がない方が鰹節には向くのですが、
自然のものなので、どうしても個体差があります。
内臓を出すときに、カツオに脂があるかどうかを判断し、
脂があるものは本節向け、脂がないものは荒節にするそうです。
本節と荒節の違いですが、(乱暴な説明ですが、)
カビつけしないで、カツオを煮ていぶしたものが荒節、
荒節にさらにカビつけして旨味を熟成させるのが本節です。
一般的な花かつおは荒節から作るそうです。
この3本の包丁で、ほぼすべての作業を行います。
鮮度が良いので内臓が、焼き肉屋さんのホルモンみたいにプリプリです。
この内臓は、カツオの塩辛用に引き取られるそうです。
カツオを二枚におろすところまでは、息子さんがやりますが、
腹と背を分けるのは、鰹節の味に影響するので、宮下さんの仕事だそうです。
背節は雄節(おぶし)、腹節は雌節(めぶし)とも呼ばれます。
雌節は腹側なので脂肪が多いのでこくがあり、
雄節は、雌節に比べ脂肪が少ないのであっさりすると言われています。
この状態だけでも、すでにおいしそう。
へんな感想で申し訳ないけど、刺身などでなじみのあるカツオの切り身を見て、
改めて鰹節って、カツオからできてるんだと認識しました。
単に並べてるだけでなく、煮たときにカツオがよじれたり曲がらないように
コツがあるようです。こうやってカゴに並べる作業を「籠立て(かごたて)」と言います。
切り身を沸騰しない一定の温度で、季節や気温やカツオの状態に応じて1時間から1時間半ほど煮ます。
カツオは釣り上げ後の死後硬直により生体のエネルギー源のアデニル酸が、
うまみ成分のイノシン酸に変わります。茹でる事により、イノシン酸をギュッと閉じ込めるそうです。
長くなってきたので、続きは明日に。
