上海にて。
2018年12月04日
最近、毎月、上海に行ってます。
私の本業のメニュー開発や食器選定など、
飲食店のブランディングに関わるプロデュースをしています。
現地の料理長と一緒に試作をしていたら、
想定よりも野菜が大きかったり、
皮が固かったり実が柔らかかったり、
調味料の味が日本とは違ったり、
必要な食材が入手できなかったりします。
でも、そんなことは些細なことなので、どうにかします。
食器市場にも何度も行かせていただいていますが、
流行りが分かって面白いです。
今は、ドライアイスが下に入れられるなお皿で
刺身や肉を提供するのが人気のようで
生け花で使いそうな大きな花器のような二層構造の皿がたくさんありました。
島田は現地の料理を食べたり、地元の人が行くスーパーをみるのが好きなのですが
日本とは違ういろんな気づきがあります。
そんな気づきを日本でのコンサルタントの仕事に役立てたいと思います。
枕崎の名人のかつおぶし。Vol.2
2018年11月09日
前回のおさらい。
鰹節をつくる工程で、生でも食べられる近海一本釣りのカツオを
包丁でおろして、茹でるところまで。
まだまだ工程長いけど、書ききれるかしら。
包丁でおろしたカツオの中骨から
スプーンで中落ちをこそげます。
このまま醤油つけて食べたいぐらい、おいしそう。
この中落ちを石うすに入れて、ペースト状になるまで練ります。
そういえば、カツオとかマグロもですが、
島田は刺身を食べたときに、鮮度がいいのに後味が酸っぱいって感じるときがありました。
魚は苦しんで死ぬと乳酸が出るので、まき網などで苦しんだ魚体は酸味が出るそうです。
鰹節にしたときにも、影響が出るので宮下さんのところでは、
一本釣りの魚体しか使わないそうです。
茹で上がってきたカツオの身から骨を抜き、
割れた身や傷に、先ほどの中落ちペーストを塗って整形します。
これをしないと傷から空気に触れるので、身の内側が酸化するのが早いそうです。
整形したカツオは、表面を固めるためと殺菌のために軽く蒸してから燻します。
鰹節を燻すことを「焙乾」というのですが、地域によって方法が異なります。
穴の中で薪を燃してせいろのようなもので焙乾する方法や
燻煙をファンで当てる方法がありますが、
枕崎では、天井の高い部屋を階層式にして下から炙りながら乾燥させます。
そうそう、薪ですが、枕崎には鰹節専門の薪屋さんがいるそうです。
枕崎の中で薪がこのような状態で積まれているところをたくさん見かけました。
広葉樹のクヌギ、サクラ、シイノキが中心で、近隣の山から集めてくるそうです。
山に囲まれた立地だから、ここで鰹節が作られてきたんだなって思いました。
焙乾し終えた鰹節は真っ黒です。
鮮度が悪いカツオだと黒くならないそうです。不思議。
焙乾後、日に当てて干してから表面の黒くてざらざらした部分を削ります。
削る前の鰹節は真っ黒です。これが荒節。
表面を削った鰹節は、裸節と呼ぶそうです。
これにカビつけしていきます。
そういえば、鰹節って最初カビつけしてなかったそうです。
関西から江戸に船で鰹節を送った際にカビてしまったのがはじまりだそうです。
下の写真はカビつけする前の裸節の鰹節。
今は、安定して使えるカビが無毒化された培養菌があるそうですが、
昔は、自然カビを使用していたので作ったかつおぶしの1/3に
悪いカビがついて捨てたこともあったと伺いました。
湿度の高いカビ付け用の部屋で何段階かに分けてカビ付けします。
カビ付けしたあとに天日で干します。
魚の切り身の状態から見てるので、あ。アノ尖ったところは魚の首のところ!
などと思いながら、眺めてました。
宮下さんのところで順調に製造すると
1本の枯節を作るのに4~6か月ほどかかるそうです。
さらに、タイコウさんのところで選別し、熟成させてから出荷するそうです。
なんて手間がかかる食材なんでしょう!
職人さんの技術のおかげで、おいしい鰹節が出来上がるのだと分かりました。
カツオ箱で削った宮下さんの鰹節は、ほんのちょっとでダシが出ます。
今まで、市販の削り節で取った出汁で感じてたカツオの酸味がありません。
なるほど、おいしいかつおぶしってこういうことか。
一般的に家庭で茶葉からお茶を入れたり、
かつおぶしからダシを引いたりすることが減ってきていますが、
気持ちに余裕がなくなってきているのかな?と思います。
要するには、鍋に湯を沸騰させてかつおぶし入れるだけです。
そんなに時間がかかる作業じゃありません。
確実においしいし、料理が楽しくなると思います。
ちなみに島田は、タイコウさんの本枯節の削り節「花くらべ」と
ダイスに切ったアボカドを醤油で和えて、
白いごはんに乗せて食べるのにハマってます。
お試しあれ。
かつおぶしが欲しくなった人はコチラから
かつおぶしのタイコウ
枕崎の名人のかつおぶし。Vol.1
2018年11月08日
東京のこだわり鰹節屋さんにお誘いいただき、
枕崎の鰹節づくりの名人の宮下さんのところに、見学に伺いました。
いたるところに鰹節工場のある枕崎の街に入ると、いぶした煙の臭いがほんのり漂ってきます。
宮下さんの工場では、ご家族全員で鰹節を作っていらっしゃいます。
古いけれどきれいに掃除された工場に入ると、ピカピカのカツオが水に浸かってました。
こちらのカツオは、近海で一本釣りされたものが
18時間以内に水揚げされて冷凍されたもの。
刺身で食べられる鮮度のカツオです。
かつおぶし屋のタイコウの社長さん。コワモテですが優しいです。
カツオは4~5kgぐらいのサイズ。
一般的なカツオブシを作るサイズよりも大きいです。
昔は、カツオが豊漁でしたが今はカツオの数が減ってきているので
水深が100mのところで漁をしていたけれど、
今は水深600mぐらいの深さになってきているそうです。
大量生産の鰹節はもっと小さなサイズのカツオを使用し、電気のこぎりで頭を落とすのですが、
こちらでは、包丁で丁寧に頭を落とし、お腹を開いて内臓を出します。
カツオに脂がない方が鰹節には向くのですが、
自然のものなので、どうしても個体差があります。
内臓を出すときに、カツオに脂があるかどうかを判断し、
脂があるものは本節向け、脂がないものは荒節にするそうです。
本節と荒節の違いですが、(乱暴な説明ですが、)
カビつけしないで、カツオを煮ていぶしたものが荒節、
荒節にさらにカビつけして旨味を熟成させるのが本節です。
一般的な花かつおは荒節から作るそうです。
この3本の包丁で、ほぼすべての作業を行います。
鮮度が良いので内臓が、焼き肉屋さんのホルモンみたいにプリプリです。
この内臓は、カツオの塩辛用に引き取られるそうです。
カツオを二枚におろすところまでは、息子さんがやりますが、
腹と背を分けるのは、鰹節の味に影響するので、宮下さんの仕事だそうです。
背節は雄節(おぶし)、腹節は雌節(めぶし)とも呼ばれます。
雌節は腹側なので脂肪が多いのでこくがあり、
雄節は、雌節に比べ脂肪が少ないのであっさりすると言われています。
この状態だけでも、すでにおいしそう。
へんな感想で申し訳ないけど、刺身などでなじみのあるカツオの切り身を見て、
改めて鰹節って、カツオからできてるんだと認識しました。
単に並べてるだけでなく、煮たときにカツオがよじれたり曲がらないように
コツがあるようです。こうやってカゴに並べる作業を「籠立て(かごたて)」と言います。
切り身を沸騰しない一定の温度で、季節や気温やカツオの状態に応じて1時間から1時間半ほど煮ます。
カツオは釣り上げ後の死後硬直により生体のエネルギー源のアデニル酸が、
うまみ成分のイノシン酸に変わります。茹でる事により、イノシン酸をギュッと閉じ込めるそうです。
長くなってきたので、続きは明日に。
多古米グランプリ。
2018年11月06日
新米のシーズンですね。
千葉の多古米(たこまい)をご存知でしょうか?
江戸時代には徳川献上米、昭和には皇室献上米に選ばれ、
最近では、JALの国内線のファーストクラスにも使用されているおいしいお米です。
噂は耳にしていたのですが、東京ではなかなか見かけず、
食べたいなぁと、ずっと思ってました。
いちばんおいしい多古米を決めるグランプリにお招きいただき、
伺わせていただきました。
お米のおいしさって、近赤外線分析機にかけて、
「アミロース」「タンパク質」「水分」「脂肪酸度」でだいたい分かります。
たとえば、タンパク質が多いお米は吸水しずらく、固くて粘りの少ないお米になります。
数値である程度はおいしさが分かるのですが、最後は食味で決めるので、
出品されたお米の中から上位7位を審査員の方々が食べて判断しました。
どうでもいい情報ですが、お米を炊いてくれてた役場の女の子たちが、
みんな可愛かったです♡
お肌もきれいなのは、おいしいお米を食べてるせいだろうか?
多古米は、寿司飯やおにぎりに良いとされていて、
歯触りがあり、冷めてもおいしいお米です。
今回のイベント用に、薪の羽釜で役場の方が炊いてくださいました。
つやつやで一粒一粒が立っていてます。
寿司屋さんが、多古米じゃなくちゃ!っていうの分かります。
多古町のマスコットの「たまこちゃん」の頭が欠けていたので、
食べられちゃったのかと心配しましたが、よく考えたらお米の胚芽部分。
精米後なんだね。たまこちゃん。
梅雨時にはアジサイがきれいで有名らしく、
たまこちゃんの頭にも素敵なあじさいのヘッドドレスが飾られてました。
あんまり関係ないけど、たまこちゃんには、しっぽがあった。
そして、担当のお姉さんは、やっぱり美人さん。
多古町は、山芋も名物だそうです。
揚げた山芋おいしかった。
今回、道の駅での祭典だったのですが、希少な多古米を使った
伝統寿司やお弁当は、普段から売ってます。
もちろん。お米も。
多古の道の駅までは、東京駅から高速バスで1時間半ぐらい、
または成田空港到着ロビー前の13番のバス停からシャトルバスがでています。
30分弱ぐらいで道の駅に行けます。
花がたくさん植えられたきれいな川沿いにあり、写真を撮りたくて来る方も多いそうです。
成田空港で時間があるときに、おすすめです。
道の駅多古 あじさい館
営業時間 9:00~19:00